寝たきり老人を宇宙に送ろう

こんにちは、救急科医師の久津(くづ)です( ̄▽ ̄)

90代の男性が、腰が痛くて動けないといって救急車で運ばれてきた。X線を撮ると、背骨の圧迫骨折であることが分かった。

担当した女の研修医の高崎が患者と家族に説明を始めた。ちなみにこの高崎はちょっとしたアイドルなみの容姿でありながら非常に優秀というハイスペック人間なのだが、ときどきぶっ飛んだことを言いだすので面白い。

 

今回の動けなくなった原因は腰椎圧迫骨折だと分かりました。X線で見てみると腰のあたりにある背骨が1か所潰れてしまっているんですね。

研修医 高崎

じゃあこれから手術ですか。

患者の息子

いえ。骨折という名前になっていますが、手や足の骨折と違って不安定性はないので、痛み止めを飲んで自然に固まるのを待つ形になります。

研修医 高崎

どれくらい入院になるんですか?

患者の息子

痛み止めの薬を飲むだけなので、特に入院は必要ありません。ご自宅で養生してください。

研修医 高崎

でもこれじゃあトイレに行くのも大変ですよ。1-2週間入院でもいいですよ。

患者の息子

いえ、あの、特に入院して治療しなければいけない病気ではないので、入院はできないんです。

研修医 高崎

えぇ!?でも起き上がるのも手伝いが必要なんですよ??

患者の息子

もちろん息子さんが手助けする必要はあるでしょうが、痛みはせいぜい1か月程度で収まってきますので・・・

研修医 高崎

1か月!?私も介護なんてしたことないし・・・その間入院じゃだめなんですか?

患者の息子

 

大分こじれてきたので、ここで久津が介入を始めた。

国の方針で、医療行為はほとんど不要で介護のみが必要な腰椎圧迫骨折などの病気は、ほとんど保険料がとれない。したがってこの患者が入院すればするほど病院は赤字になる。

そのかわり介護保険という仕組みで家にヘルパーさんを呼ぶことができる。通常は申請からサービス開始に1か月程度かかるが、状況に応じて申請直後から前倒しでサービスを開始することができる・・・などなど。

長らくかかってようやく患者の息子は納得してくれた。腰椎圧迫骨折のように、病気と老化の狭間、医療と介護の狭間の病気は扱いが難しい。高崎も、何度もこの手の争いに巻き込まれている。そもそも正解がないのだ。

 

もうっ、腰が痛くて動けない人はみんな宇宙に送っちゃえばいいんです!そしたら腰も痛くないし、介護も楽だしっ!

研修医 高崎

救急科医 くづ

大気圏脱出するときのGで死ぬぞ。
それならそれで宇宙葬ですっ!

研修医 高崎

救急科医 くづ

こらこらこら。

 

悩み多き研修医。久津のように諦めず、存在しない正解を創り出して欲しい。でも宇宙には送るのは無しです。

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