半帽が守るのは免許だけ(※閲覧注意)

こんばんは、救急科医師の久津(くづ)です。

20代の男性が、原付で走行中にマンホールで滑ってこけて、強く頭を打ち心肺停止状態にある、といって救急車で運ばれてきた。

男性は半帽のヘルメットしか被っておらず、それすらも転んだ衝撃で外れてしまっていたらしい。

久津が頭を診察すると、割れた卵の殻同士が擦れるような、独特の感覚がした。

頭蓋骨が割れていた。

その中に彼の魂はすでにないと、そのとき悟った。

 

案の定あらゆる蘇生行為に反応せず、母親の慟哭の中、死亡確認をした。

 

半帽のヘルメットが守ってくれるのは免許だけだ。

久津の前にあるのは若い死体だけで、その説教はただの独り言になった。

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